特集!小林弁護士インタビュー ~高次脳機能障害編~
高次脳機能障害を抱える方を取り巻く問題について、小林弁護士にインタビューさせて頂きました。
高次脳機能障害を抱える方を取り巻く問題について
聞き手
普段高次脳機能障害を抱えられている方と面談して感じることは、どのようなことですか?
小林弁護士
そうですね。高次脳の方の特徴的な症状として、性格が変わってしまう、人格変化という言い方をするんですが、そういう傾向が顕著な方が中にはいて、例えば、私のところにお見えになった時点でも、興奮して、「一緒に戦ってほしい」と叫びながら入ってくるような人もいます。奥様に聞くと、凶暴になってしまったといわれる方も中にはいます。
多かれ少なかれ、性格変化、人格変化というのが出てしまうという特徴があるので、特に周りにいる方は、精神的に大変な苦労をしている場合が多いと思います。そのため、私たちがご依頼を受けて、代理行為をする場合は、ご家族の精神的フォローもさせて頂かないと、結局上手く回っていかないというところがあります。これは一つの課題ですね。
聞き手
セカンドオピニオンのニーズは増えてきているのでしょうか?
小林弁護士
弁護士はやはり敷居が高いようで、すぐに弁護士のところに行かなきゃとは皆さん思わないようです。そのため、結局症状固定とか、治療を終了して下さいと保険会社から言われたりして、どうしようといろんなところに相談に行ったり、インターネットの記事をみたり、周りに聞いたり、病院の先生に相談するのでしょうが、そのために最終的にたどり着くのが遅いケースが多いと思うんですよね。できれば事故直後とは言わないけれど、治療をはじめてなるべく早い段階で、その後の賠償のことも見据えて、専門家に相談をなさって、どんな検査を受けたらいいかなど一緒に考えながら行動するのがいいと思います。
小林弁護士
ただ、弁護士は専門家と言っても、賠償問題の専門家にすぎません。できれば高次脳機能障害に理解がある、経験もある弁護士が精神面のフォローを含めてできるのがいいとは思いますが、やはり片手落ちのところもあります。カウンセラーでもありません。
私の場合は、今一緒に相談を受けてもらっている人に心理カウンセラーの資格を勉強中の方がいるのですが、そういった心理面でのフォローもできるようなスタッフがいてくれると、片手落ちにならなくていいと思います。
適宜役割分担をして、色々なサポートができれば、その方のためになるんだろうと思います。仕事を辞めざるを得ない人の場合は特にそうですが、障害年金を受給したりとか、後々のフォローも一緒に考えていくという場面が出てきたら、専門の社労士さんにご紹介をさせて頂くこともありますね。
聞き手
色々な専門家の方がいらっしゃると思いますが、今ご紹介頂いた専門家の方以外で、さらにこんな専門家の方とサポートがあると良いとお考えになられていることはありますか?
小林弁護士
そうですね、例えば、職業上の問題がある方の場合では、キャリアカウンセラーに入ってもらったりするのも良いですね。また、弁護士もそうですね。私の場合、必要に応じて、私以外の弁護士にも入ってもらうということも行っています。被害者の方に合った専門家を適宜声掛けして一緒に入ってもらうことも一つ必要なことなのかなと思います。
特集!小林弁護士インタビュー ~高次脳機能障害編 vol.2-1~
高次脳機能障害を抱える方を取り巻く問題について、小林弁護士にインタビューさせて頂きました。
高次脳機能障害を抱えた場合の気を付けるべきポイントについて
聞き手
高次脳機能障害を抱えてしまった場合、被害者やご家族はどのような点に気を付けて対応していくのが良いでしょうか?
小林弁護士
まずは、一人で抱えないことが大切ですね。高次脳機能障害という診断名が付くことはないので、自分の症状がおかしいなと思ったら、普通は医師の先生に相談し、医師の先生にリードしてもらうことになるのですが、少し感じるのが、そのお医者さんとうまくいかなかったり、お医者さんの言うことに不信感を持つ人が少なからずいらっしゃるんですよね。
多少なりとも医療訴訟とかやったことがあるので、お医者さんとのお付き合いは私自身もあるので、お医者さんのものの言い方とか、お医者さんの考えみたいなところは、自分の中で思いあたる部分があるので、解説は少しはできるので、安心する方もいらっしゃるんですよね。そうすると、その主治医さんとの関係性が良好になって、いい解決につなげられるということも多々あります。そういうところを、誤解とか、不信感とかお持ちになったときはアドバイスとして修正してもらうということを心がけるようにはしています。
また、ご家族の理解が必要なので、ご家族も大変だけれども、一緒に努力をしてくださること、これが一番重要なことです。なかには離婚をしてしまう人もいるくらい大変な問題なんですよね。人格変化とか、性格変化とかとんでもない事態が起こるので、ご家族が一番大変な思いをされると思います。日常生活でいつも身近にいる人が一番変化に気づくし、一番傷つきます。だからご夫婦の場合は離婚に至ってしまうケースも中にはあるようです。そうすると、そこで一人になってしまうんです。一人にならないでとは思うんだけれども、病気のせいではありますが、一人にならざるを得ない環境を自分で作り出してしまうというリスクもあります。そうならないようにして欲しいんですが、こればかりはなかなか難しいですね。
特集!小林弁護士インタビュー ~高次脳機能障害編 vol.2-2~
聞き手
ご家族の方が悩んでいらっしゃるケースって多いじゃないかと思うんですが。
小林弁護士
多いですよ。ご家族だけ、それも一人でお悩みを抱えていらっしゃる方も、過去には何人もいらっしゃいました。そのような方は、大体1回の相談で終わってしまうんです。
なぜかというと、決めるのはご本人たちだからで、高次脳の方は、別に認知症になったわけでもなく、判断能力がある程度ある方なので、本人に聞いて賠償問題をどうするか確認しても、ご本人自身がその気にならないと、弁護士に相談することも、弁護士に依頼することもしないで終わってしまうんですよ。
ですので、できれば一緒に相談にお越しになられるのが良いですね。ご家族だけでどうこうしようとしても上手くはいかないことが多いですね。
聞き手
ご家族の方も、高次脳の方が家族にいらっしゃるようになると、急に人が変わった家族ができたようで驚かれてなかなかうまく対応できなかったり、馴染めなかったりすることもあるのでしょうか?
小林弁護士
そうですね。先日ある弁護士の方のご紹介で、ご夫婦の方がいらっしゃったのですが、事故前から夫婦関係は良好だったようです。その方の場合は、事故後に人格変化があっても前向きで、奥様も理解があって非常に優しい方で、お子様がまだ小さいので二人で協力して何とかしなくてはという思いで、ご相談にお越しになられました。
最初は私もどうなってしまうのかなとは思いましたが、大変なストレスはあったが、結局一年半くらいかかって、様々な検査や診察を何とか乗り切って頂き、最終的に納得のいく示談が成立しました。一年半という長期に渡って、そのような治療、診察、検査を受け続けられたのは、ご本人の努力もありますが、奥様のサポート、理解と優しさがあったから続けられたと思いますし、お二人に言われたことですが、私が背中を押してくれたからということもあったそうです。そのため、何とか頑張ることができたようです。
そのようなことからも、ご本人、ご家族、そして専門家のサポートが加われば、少なくとも、その方自身にとっては納得のいく解決に至ることができるのだろうと思います。一人一人個性も違うし、家庭環境も違うし、いろいろ大変です。理想的なケースは、ご本人が前向きであって、ご家族も理解を持ってサポートすること、そして身内だけでは抜けてしまいそうなところを専門家が適切なアドバイスをすることが必要ですね。
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