物損Q&A
物損Q&A
物損については、多くの場合、被害者自身で示談交渉をして終わることが多いです。
Q&A
Q
事故後、怪我の治療を受けているが、加害者側(保険会社)から、車両損害(物損)だけ先に示談して欲しいと言われた。先に示談しなければならないか?それは普通のことか?
A
先に物損の示談をしなければならないということはありませんが、先に示談をすることはできますし、それは一般的なことです。
交通事故で人身事故が起こった場合、車も同時に毀損して物損による損害が発生することが多いです。この場合、物損部分については先に示談してしまい、人身損害については後日の話し合いになる事が普通です。それは、物損部分については損害額を早期に確定できるからです。
物損の損害内容は、車の修理費や代車費用、評価損や買い換え費用、営業補償などですが、これらは事故後、比較的すぐの時点で計算することができます。だいたい1ヶ月から遅くても2ヶ月もあれば、損害の全体が明らかになるでしょう。そこで、物損部分についてはその時点で示談することができるのです。
これに対して、人身損害については、損害内容が確定するのが非常に遅くなります。具体的には、症状固定(治療を続けてもそれ以上よくならない状態)するまでは損害内容が確定しないので、損害内容が確定するまで、最低でも3ヶ月~6ヶ月程度はかかってしまいます。通院に1年以上かかることもありますし、人身損害については争点も多いので、示談交渉が長引きがちで、調停や裁判になることもあります。
このようなことから、物損と人損を同時に示談交渉しようとすると、物損部分についてはとうに損害が確定しているのに、人損部分の損害内容が確定しないためにずっとペンディングされたままの状態になってしまうのです。
そのようなことは不合理かつ不経済であるため、通常は物損部分を先に示談してしまい、後は症状固定するのを待って人損部分の示談交渉をすることになります。保険会社内部でも、物損対応の部署と人損対応の部署は別れていて、別々の担当者がつくことが多いです。
サラリーマン、会社員、給与所得者といわれる方が交通事故に遭ったときに、良く受ける質問をQ&Aに纏めてみました。
因みに、「給与所得者」とは、会社などと労働契約を締結して労働の対価として給与を得ている者をいいます。
Q1.自分は「会社員(サラリーマン)」なのですが、休業損害を貰えますか?
A1.
はい。 交通事故に遭ったために会社を休業し、休業によって損害が発生しているのであれば、勿論、休業損害を賠償して貰えます。
会社員のような給与所得者は、欠勤しなかった場合との賃金の差額を使用者(会社)に証明して貰えるため、事故によって休業した事(因果関係)と休業による損害(損害の発生)を把握し易く、したがって、殆どのケースで休業損害を支払って貰えます。
Q2.サラリーマンが「有給休暇」を使って休んだ場合でも、休業損害を貰えますか?
A2.
はい。この場合は、会社から給与が全額支給されるため、休業による損害を観念しにくく、よって、休業損害を貰えないのでは?と多くの方が心配なさいます。しかし、有給休暇は労働者の権利であって、それ自体が財産的価値を有していると考えられます。
したがって、このような有給を事故によって消化する事になったという意味で損害の発生を肯定でき、したがって、休業損害を請求することができます。
Q3.サラリーマンが休業損害を請求するには何が必要ですか?
A3.
当該サラリーマンの「休業損害証明書」と事故前年の「源泉徴収票」が必要です。どちらも使用者(会社)が作成するもので、休業損害証明書の用紙は、事故直後に保険会社から送られてきます(お持ちでない場合は当事務所でお渡ししています)。
通常は、この2点で足りますが、いずれも私文書にすぎないため、信憑性等に問題がある場合には、納税証明書や課税証明書といった公的書類を要求されるケースもあります。
Q4.会社を休んだことで「賞与」が減額されたのですが、賞与の減額分も請求できますか?
A4.
事故による欠勤がなければ、使用者(会社)の賃金規定に従った賞与を受けることができていた場合には、請求できます。この場合、本来支払われたはずの賞与額と実際の支給額との差額が損害といえるからです。ただし、実際のところ事故による賞与減額の証明は難しいので、使用者(会社)が発行する賞与減額証明書があると良いでしょう。
Q5.「副業収入」も休業損害の対象になりますか?
A5.
はい。ただし、副業収入の存在と金額を明確に証明する必要があります。この証明ができれば本業と同様、副業収入についても休業損害として賠償して貰えます。
Q6.事故による怪我が原因で「解雇」されてしまいました。解雇された場合も休業損害を貰えますか?
A6.
事故に遭わなければ解雇されずに済み、会社に勤務していたであろう場合には、無職状態となった以降も、現実に稼働困難な期間について、休業損害を請求できます。
解雇された場合だけでなく、「退職を余儀なくされた」場合も同様です。
Q7.サラリーマンの休業損害は、どのように計算されるのですか?
A7.
サラリーマンの休業損害は被害者の方の収入と休業相当期間を認定して、次の計算式により算定します。
基礎収入(日額)×休業期間(日数)
なお、基礎収入については、保険実務では、事故前3ヶ月の平均賃金に基づき算定されます。このため、Q3.で取り上げた「休業損害証明書」には、事故前3ヶ月の賃金を記載する欄があります。
Q8.「会社役員」なのですが、会社役員も、事故前の報酬額をそのまま基礎収入として休業損害を貰えますか?
A8.ケースによって異なります。
つまり、会社役員(代表取締役、取締役等)は、税法上は給与所得ですが、実態としては、純粋な労務の対価とはいえない部分(利益配当部分)が混在しており、この会社経営者として受領する利益配当部分は休業によっても失われないので(つまり、休業しても前と同じように貰える)、損害算定の対象から除外されるべきだと考えられています。
参考として、労務対価部分を認定した判例の要旨を1つだけ、ご紹介しておきます。
要旨:65歳男性・会社役員について、復職後、事故前に比べて30%業務量が減少したが報酬月額は変わらなかったことから、役員報酬年1,200万円のうち一部は労働の内容や程度と関わりなく得られていたと推認するのが相当として、従前の職務の内容に鑑み、原告(被害者)の労働と対価的関連性を有する部分の金額を、一般的な労働者が得るであろう平均的な賃金の2倍程度の額に相当する年960万円と認定した(東京地裁平成25年3月13日・交民46巻2号353頁)。
会社員・サラリーマンの方で交通事故にお遭いになられた方は、適切な休業損害をきちんと受け取るためにも、まずは交通事故に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。当事務所でも、会社員・サラリーマンの方の交通事故のご相談は初回相談無料にて対応しておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
お気軽にお問合せ下さいませ
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