【解決事例】事故と(左)腕神経叢損傷との因果関係、後遺障害等級(自賠責保険の認定は14級)が問題となった事例
事故状況
トラック同士の衝突事故。被害者は、大型トラックの運転手(男性)。自賠責保険の認定は、後遺障害等級14級(頸部痛、左上肢の疼痛・痺れの神経症状に対して)。
被害者の主訴は、左上肢麻痺、頸部運動制限。5級を主張。
※(外傷性)腕神経叢損傷とは
バイクの転倒事故などのように腕神経叢に強力かつ急激な外力が作用した場合に発症し、症状としては受傷直後から麻痺を生じる。
被害者
10代男児
事故状況
飛び出しによる衝突事故。
友人とふざけて遊んでいるうちに道路に飛び出し、自動車に衝突してしまった。
経過
事故により、右上腕骨骨折、右脛骨骨折、右腓骨骨折という傷害を負い、入院。右足の骨折については、金属プレート骨内固定を伴う観血手術を、骨癒合後は抜釘手術を受けた。腕については、ケロイド切除術、同部の瘢痕拘縮形成術等、数回にわたる手術を受け、2年後に症状固定。
↓
後遺障害認定を申請した結果、右上腕の手術創瘢痕についてのみ14級4号が認定された。
後遺障害
後遺障害14級4号
交渉結果
保険会社の提示額 既払い金を除き98万円 → 受任後250万円で示談成立。
増額のポイント
被害者である児童にも飛び出した過失があったため減額はやむを得なかったが、事故現場に出向き母親と一緒に飛び出しの状況を調査する等し、減額を最小限に止めることが出来た(相手は30%減額を主張したが15%減額で合意)。
また、度重なる手術と、残った傷の酷さから、相手の提示額以上に慰謝料が増額されるべき事案であった。
なお、自賠責保険の認定上は、傷の大きさから14級が限界であった。但し訴訟提起をすれば、14級以上の後遺障害が認定された可能性は高かったため、訴訟提起を勧めたが、母親が希望しなかったため断念した。
被害者
30代女性(主婦)
後遺障害等級
後遺障害11級
経過
腰椎を骨折したため、一月ほど入院し、その後、自宅で安静にしながらリハビリ治療を続けることになったが、加害者の保険会社から治療費を打ち切られる心配が強く、後遺症が残ることによる将来不安も強かったため、事故から2ヶ月後(退院後一月後)に弁護士依頼。
↓
結局、事故から1年2ヶ月の治療期間を経て、症状固定となった。
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症状固定時の症状は、腰部の鈍痛、重量物を持てない、腰が曲がらない(=可動域制限)というもので、被害者の自覚症状としては可動域制限を強く感じていたが、自賠責保険の認定は、「画像上、圧迫骨折が認められるものの骨折の状況からは高度の可動域制限を生じるものとは捉えがたい」というもので、腰椎変形の程度からみて「脊柱に変形を残すもの」に該当するとして、11級の認定に止まった。
↓
その後、示談交渉にあたっては、治療期間中の主婦の休業損害を主張したり、11級の労働能力喪失率(20%)を前提に逸失利益の主張も行ったが、被害者にも事故発生に関する過失(=過失相殺事情)があったため、やむなく、既払い金の他、約500万円の支払を受けることで示談成立となった。
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