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    醜状障害

    事故で足の骨を折れば手術をすることになり、ひどい場合は、ケロイドや線状などの傷跡が残ります。


    このような場合、醜状障害として後遺障害の認定の対象となりますが、醜状が身体のどこに残ったかによって、後遺障害等級は違ってきます。


    外貌(顔や首)に残った場合は、人の目に付く場所で、本人の精神的苦痛も大きいことから、高位の等級が付きますが、上肢や下肢(腕や足)に残った場合は、大きさによって、14級が付く場合もありますが、非該当となるケースもあります。


    14級が付くのは、手のひら大の大きさの傷が残った場合です
    (←法文には、比較的分かり易い表現で「上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの」と書かれています)。
    但し、大きさが手のひら大より相当大きく、醜状がひどい場合には、12級が付くケースもあります。


    このように、腕や足に瘢痕が残った場合には、14級、12級に該当する可能性があります。但し、例えば、腕に、20㎝にわたりケロイド状の傷が残っても、等級としては14級に止まるといったように、醜状障害の認定は、被害者にとっては、厳しく、受け容れがたい場合が多いようです。足や腕の醜状障害では、12級の認定を受けられるのは、本当にひどい場合しかない、というのが実感です。


    12級が認定されたケースとしては、解決例④のケースがあります。これは、バイク事故で飛ばされて地面にぶつかた時に、両方の足に、それぞれ2~3カ所の色素沈着を伴う痕が残ったケースです。このケースでは、傷の長さの合計は36㎝、幅は合計16㎝でした。面積から、相当ひどい傷であったことが分かると思います。

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    私の感覚としては、骨折までしていれば12級以上と思っていますが、実際には、複雑骨折をして金属固定術まで行ったケースでも、14級に止まる場合があります。

     


    骨折自体はひどいもので、何回も手術を繰り返したのですが、幸い、予後が良好で治癒し、残った症状は、合計30㎝の線状痕と、傷の引きつれによる歩行時の痛みや正座ができないといった神経症状で、麻痺はありませんでした。


    後遺障害の認定結果は、上肢および下肢(腕の足)に手のひら大の瘢痕を残しものとして、14級でした。痛み等の神経症状や運動障害についても、14級に止まり、併合14級という結果に止まりました。

     

    このケースで、もし、骨折部位の画像で骨折に伴う関節面の不整など認められ、それが原因で痛みなどの神経症状を来していると判断されていたならば、12級が付いていたはずです(実際、他の骨折事案では、このような理由により、併合12級の認定が受けられました)。

    以上みてきたように、12級と認定されるか14級と認定されるかで、労働能力喪失率や慰謝料の金額が大幅に違ってきます。

     

    したがって、一般的には、12級の認定を受けた場合の方が、賠償額も格段にアップするわけですが、14級の認定に止まる 場合でも、ケースによっては、1000万円の賠償請求が可能です。

     

    例えば、解決例⑭のケース(歩行中の衝突事故)では、14級を前提としながらも、1000万円での示談による解決ができました。因みに、相手保険会社の提示額は350万円でした。

     

    このケースでは、被害者は金融機関に勤める40代の男性で、高収入でした。つまり、労働能力喪失率は5%に過ぎなくとも、事故前収入が高く、就労可能年数がそれなりに長ければ、逸失利益も高額になるわけです。


    しかも、このケースは、慰謝料増額事由があったため、傷害慰謝料や後遺障害慰謝料も、通常基準より増額して貰うことが可能でした。

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