【弁護士コラム】法廷あれこれ
Part1 最近驚いたことーまさかの欠席判決?
民事裁判では、被告が初回期日に答弁書を出さずに欠席すると原告の請求どおりの判決が下されます。これが欠席判決ですが、被告にとっては大打撃です。そのため被告に付いた弁護士は必ず初回期日前に答弁書を裁判所に提出して争う姿勢を見せます。
ところが、被告から答弁書の提出がないまま初回期日を迎えた事件がありました。
このまま被告が出廷しないと欠席判決が言い渡されてしまう!とあり得ない事態に首を傾げながら、原告代理人として第1回期日に出廷すると、午前10時の指定時間になっても被告も被告の弁護士も現れません。
法壇上では裁判官が席に付き、私も原告席に着席し、書記官も被告が現れるのをじっと待っていましたが、5分経つ頃には静寂な法廷内におかしいぞ!という空気が流れ始め、まず裁判官が口を開き、こちらに向かって、被告には代理人(=弁護士)は付いていないのでしょうか?事前に連絡はありませんでしたか?と聞くので、こちらには何の連絡もありません。
弁護士は付いているはずですが連絡がないので分かりません。と答えると、書記官が廊下に出て事件番号や被告の名前を呼びながら被告を探すも反応無し。裁判官は仕方なく、原告は訴状を陳述しますね。被告は出廷しないので訴状の内容を擬制自白したものとして結審します。と言い、一週間後に判決の言い渡し期日が指定されました。
欠席判決は民事訴訟法には書いてあるものの実際に経験するのは初めてだったので、非常な驚きでした。原告側は労せずして請求が認められるので喜ぶべきだったかもしれませんが、欠席判決を貰う弁護士の不名誉を考えると、つまり自分が被告の代理人だったらと思うと恐ろしい!というのが実感。
被告は弁護士に依頼しなかったのだろうか?だったら自分が出廷しないといけないのに一体どうしたのだろう?あり得ない!と悶々としながら帰りました。
後日談ですが、この事件、実は被告には弁護士がちゃん付いていたのですが、その弁護士の所属事務所の手続きミスにより、答弁書を出し忘れたのだとか。
何ともお粗末ですが、被告側では、判決言い渡しまでの期間内にその事に気付き、被告の弁護士から焦った声でこちらにも連絡が入りました。その弁護士さん、裁判所には期日を再開して貰います。と言って申立書を提出したり大変な思いをして、やっと欠席判決を阻止出来たという結果でした。同じ弁護士としてヒヤヒヤさせられた驚くべき初回期日でした。
(Part2に続く)