【弁護士コラム】私の武勇伝 -その②「こちらから伺います!」

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ある被害者の方が、「保険会社からすぐにお金を払うと言われていたが、急に払わないと言ってきた。自分は直ぐに貰えると思っていたので困っている。本当に保険会社のやることは酷い。訴えたいくらいだ。でも先生、時間がないんですよ。」と、青ざめた顔をしていらっしゃいました。

 

その方は自営業者で、事故の被害により働けなくなった上、当てにしていた賠償金が入って来ないため、取引先への支払いができず困っているとのこと。「2週間以内に払って貰わないと困るんです。」と必死です。
 
見ると、足を引き摺って、身体も辛そうな年配男性です。
 
その破産寸前のような必死な形相を見ると放っておくことは出来ないので、とにかく相手の保険会社に電話で問い合わせることにしました。そうしたところ、色々事情があることが分かりました。
 
しかし、電話のため細かな事情までは分かりません。書類を見ないと正確な判断も出来ません。そこで私から、「明日そちらに行きます!」と言いました。
 
相手の担当者は驚いたようで、「はっ?先生がこちらに来て下さるんですか?」「いえ、それはちょっと。」と困った声を出すので、「私は構いませんよ。そちらに伺えば色々と話が早いでしょ?」と言ったところ、「そこまで仰るなら、分かりました!」「こちらから伺います!」と言って、重たい書類を持って来てくれました。
 
会って、開口一番に言われたのは、「いやぁ、弁護士の先生が来る事なんてないですから、驚きましたよ。」とのこと。
 
そして、押し問答も含め色々な話が出来たため、スピーディーに交渉が進み、相談者の希望どおり、何とか2週間以内に一定の支払いを受けることが出来ました。
 
その担当者が言うように、確かに保険会社に出向く弁護士はいないでしょうが、ケースによっては押しかけるくらいの勢いが必要だと思いました。
 
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