12級と14級の違い
後遺障害等級は、1級~14級まであります(14級が最も低い)。
このうち、認定される等級で最も多いのが14級と12級だといわれています。
ところが、14級と12級では、賠償問題の上では格段の差があり、
例えば、逸失利益の計算で用いられる労働能力喪失率は、14級で5%、12級で14%と、大きく異なります。
例えば、症状固定時の年齢が40歳で、収入が500万円の人の場合
→12級だと、500万円×0.14×14.6430(労働能力喪失期間27年のライプニッツ係数)=1025万100円
→14級だと、500万円×0.05×14.6430(労働能力喪失期間27年のライプニッツ係数)=366万750円
<注>むち打ち症では、上記の計算はそのまま当てはまりません。
つまり、労働能力喪失期間は短期間に制限されます!後遺障害がある以上、就労可能年数とされる67歳までを労働能力喪失期間として、逸失利益(事故がなかったら得られた利益)が計算されるはずですが、むち打ち症は、自覚症状を主体とするため、裁判では、以前から、喪失期間が短期間に制限される扱いとされ、12級は5年~10年、14級は5年以下に制限される例が多くなっています。
後遺障害として認定しおきながら、矛盾しているようにも思えますが、むち打ち症は、自覚症状主体の軽度の末梢神経障害にすぎず、そのため、いつかは治る症状と考えられているのです。
但し、14級で労働能力喪失期間が5年に制限されても、例えば、年収が540万円、一月休業、6ヶ月通院したケースで、過失相殺による減額がなければ、賠償金は、裁判所基準によると、単純計算で400万円近くになります(休損、通院及び後遺障害慰謝料、逸失利益の合計)。同様のケースで、12級だと労働能力喪失期間が10年で期限切れたとして約630万円です。
また、慰謝料の金額も、自賠責保険金の法定金額で、14級が75万円、12級が224万円と、やはり大きく異なります。因みに、慰謝料金額についていうと、弁護士が交渉時に用いる裁判所基準では、14級が110万円、12級が290万円となります。
そこで、12級と14級の違いは何か?に皆さんの関心が集まるようです。ですが、自動車損害賠償保障法(施行令)の条文を見ても、例えば、同じ神経障害でも、14級については、「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)としか書かれておらず、一方、12級についても、「局部に頑固な神経症状を残すもの」(12級13号)としか書かれていません。条文を見る限り、違いは、神経症状が頑固かどうかだけなのです。
これでは、分かりようがありません。弁護士でも、裁判実務の経験が豊富でなければ、説明できないでしょう。そこで、皆さんから、「例えば、どういう場合だと12級の認定を受けられるのでしょうか?」と聞かれるわけですが、これについては、後遺障害の種類に応じて、認定の仕方が違うので、交通事故で最も多いといわれるむち打ち症の場合から、説明します。
むちうちに関する解決事例はこちらからご覧下さい
No | 事件の内容 |
1 | 頚椎捻挫を受傷し、その後頸部から肩の疼痛や腰痛を生じた被害者が、後遺障害等級14級の認定に対し、異議申し立て後、提訴し、和解で終了した事例 |
2 |
停車中の追突事故-後遺障害非該当事例 |
3 |
駐車上内の追突事故された30代男性で、保険会社の提示の2倍以上金額で示談を成立させた事例 |