【バイク事故判例⑪】高速道路で車線変更車がバイクに接触し、視力障害(後遺障害8級)が残った46歳男性のケース
(平成29年1月24日横浜地裁判決/出典:自保ジャーナル 1996号47頁等)
関係車両
バイク(大型自動二輪車)vsトラック(普通貨物自動車)
事故の状況
事故現場は片側3車線の高速道路上。バイクは第3車線を時速約120kmで走行し、第2車線では加害トラックが時速約100kmで走行していた。トラックが第2車線から、第3車線を走行中のバイクの前方に車線変更をしてきた為、バイクは急ブレーキをかけたが、トラックの右後部にバイクのフロントカウルの左側が衝突し、バイクは右側に横転して滑走した。バイク運転者(被害者)が被っていたフルフェイスのヘルメットは、一部が陥没した。
けが(傷害)
右肘・右前腕筋挫傷、頚椎捻挫、外傷性頚部症候群、左黄斑浮腫、左硝子体出血、歯根破損等
入院等の期間
①入院 (5日)
②通院約4年3ヶ月(実日数は126日)
後遺障害
左眼の視力低下(「1眼の視力が0.02以下」)(8級1号)
過失の割合
バイク10%、乗用車90%
判決のポイント
①過失割合(過失相殺)
トラックは、進路変更の3秒前までに進路変更の合図を出さず、進路変更先の後続車の安全確認を十分に行わずに第2車線から第3車線に進路を変更し、バイクの進行を妨害したという過失がある。
一方、バイク運転者(被害者)は、前方で進路変更をする先行車を注視し、速度を遵守して走行する義務があったが、進路変更をするトラックを十分に注視せず、法定速度を超過して走行した過失がある。
裁判所は以上のように述べて、これらの過失の内容等を踏まえると、進路変更をして後続車の進行を妨害したトラックの過失の方が大きいとして、双方の過失割合をバイク10%、トラック90%と認定した。
②逸失利益
被害者の収入は、配属先が営業統括部からCS推進部に変更となった後も、事故前と比較して、減収しておらず、今後も、大きな減収が生じることは考え難いとしながら、もっとも、左眼に視力障害と視野障害を抱え、両眼を使用するよりも疲れて休憩を取る時間が増えた状況でありながらも、事故後に異動したCS推進部において、パソコンでの入力が中心となる業務で努力を重ね、勤務先付近に引っ越し、自宅での仕事の時間を増やしてまで仕事に時間を費やしたという不断の努力が、大きな減収が生じていない要因の一つになっているとして、これらの事情を考慮して、67歳まで、労働能力25%を喪失したことを前提に逸失利益を認定した。
③慰謝料(後遺障害分)
被害者は、営業成績を見込まれてa社に入社し、営業部で勤務していたものの、事故に遭ってCS推進部に異動となり、理事、役員への昇格への可能性が以前よりは少なくなったとし、これらの事情が考慮され、900万円が認められた。