頸椎捻挫(むち打ち症)の裁判
こんなに掛かるなら和解を拒否して最初から判決を求めれば良かったと思いましたが(判決になれば事故後からの遅延損害金と弁護士費用も賠償金に加算されます)、被害者の方が、裁判官の勧告に従いたいと言って、和解で良いというので和解で終わりました。
むち打ち=示談ではない
上記のケースでは、被害者の方は、結婚直後で子供が生まれる時期に事故に遭い、加害者が不誠実だった上、加害者の保険会社から提示された賠償金が余りにも低額で、納得がいかないという怒りがありました。
そのため、弁護士としても提訴の必要性を感じ、尚かつ、この人と一緒なら頑張れると思える信頼関係が成立していたため、訴訟代理の依頼を受けることにしました。
提訴したのに賠償金が下がった?
示談より裁判を起こした方が賠償金が増額されるというのが、賠償問題の常識ですが、そうでないケースもある。と驚いたことがあります。被害者の方が、「セカンドオピニオンを貰いたい。」「その結果、先生に引き受けて貰えるのなら高裁から引き受けて貰いたい。」と言うので聞いた話が正にそうだったからです。
被害者の方には既に他の弁護士さんが付いて地裁で判決が出る寸前の時期まできてましたので、私が代理人になることはあり得ませんが、それでも、被害者の方が余りにも意気消沈して相談にみえたので、色々お話は伺い、できる提案はさせて頂き、お帰り戴きました。
それにしても、示談の段階で有利に話が進むのならば、先々の事を考えて示談を成立させる方が被害者保護になるケースは確かにある。と勉強になったケースでした。
示談の段階では保険会社の担当者が窓口となっていたケースでも、裁判になれば必ず相手は弁護士を付けて入念な訴訟戦略を立てて、とことん自分に有利な主張を行います。加害者なのに酷いと思うのはこちらばかりで、訴訟になったからには、加害者側も、理屈を盾にして、被害者の請求は高額すぎる。これが正当な賠償額だと堂々と主張してくるものです。
全ては、裁判の経験を踏まえて、裁判になったらどうなるかを示談段階から考えて行動し、最適な時期と金額で紛争を解決することが肝要です。