整骨院で交通事故治療を受ける場合の注意点
●整骨院へ通院するメリット
交通事故により首や腰を受傷した方の中には、整骨院への通院を希望する方がいます。
整骨院は、病院より遅い時間まで受け付けていることや、近所にあるため短時間で通えて便利だというメリットがあるからです。
また、薬物による副作用を避けたい方にとっても、整骨院でのマッサージ中心の施術はメリットがあるようです。
●なぜ注意が必要か?
しかし、何の知識もないまま整骨院への通院を続けていると、治療を打ち切られたり、後遺障害の認定が得られにくくなったり、賠償金を減額されるリスクもあるため、注意が必要です。
●知っておくべき事
そこで、まず知っておくべき事を以下に挙げます。
①整骨院で行われる施術は、医師による医療行為としての治療ではありません。
②したがって、整骨院では、診断、外科手術、レントゲン等の検査、投薬は受けられません。
③整骨院では、後遺障害認定に必須の診断書も後遺障害診断書も作成して貰えません。
④整骨院で行われるマッサージは、治療というよりも疲労回復のための施術とみなされることがあります。
●では、どうするべきか?
①まず整形外科で治療を受けること
整骨院だけに通院することは、事故による重篤な器質的損傷を見落とす危険があるため、最初は整形外科病院で検査を受け、医師による適正な診断を受けた上で、安静指導や消炎鎮痛療法等の急性期治療を受けるべきです。
②整骨院への通院希望がある場合は主治医の同意を得ること
整骨院への通院希望がある場合は、主治医に相談し、整骨院での治療が有効だと主治医が認めた場合に、1週間に1度など、可能な限り定期的に主治医の診察を受けながら、整骨院にも通院することをお勧めします。
こうして、整骨院への通院に主治医が同意した場合、あるいは整骨院への通院を主治医が指示した場合には、主治医による適切な治療管理の下での施術として、保険会社から突然治療費支払を打ち切られる心配はまずありません。
また、仕事が終わった後でも無理なく近所の整骨院で施術を受けることができ、結果として、賠償金の面でも納得のいく解決が実現するでしょう。
【2024年8月13日更新】
執筆者:渋谷シエル法律事務所 弁護士小林ゆか