【解決事例】自転車vs自動車の高齢者同士の接触事故により肋骨を骨折する等し、通院中に治療費支払を打ち切られた高齢被害者が、その後9ヶ月もの間自費で通院治療を続けた後に、14級後遺障害の認定を受け、事故から1年半後に示談により解決した事例

被害者

70代女性

 

事故状況

自転車で横断歩道を直進中、左折してきた普通乗用車に接触し、左方に転倒した。

 

診断名

左肋骨骨折、左股関節・腰椎・頸椎捻挫等

 

弁護士依頼の経緯

事故後は、相手の保険会社に治療費を負担して貰い整形外科クリニックに通院していたが、4ヶ月後に治療費支払を打ち切られたため、弁護士依頼となった。

 

その後の経過

治療費支払を打ち切られた後は、健康保険利用により自費でクリニックへの通院を継続した。

しかし、主治医から希望しない手術を勧められたり、治療方針に関し納得の行く説明を受けられなかったため、他院に転院。

転院先で事故から約1年経過後に症状固定と判断され、被害者請求により自賠責保険へ後遺障害等級認定を申請し、後遺障害等級併合14級の認定を受けた(認定理由は、①左腰部・左下腿痛14級9号、②左股関節痛14級9号)

相手保険会社と示談交渉し、事故から約1年半後に、総額300万円余りの賠償金支払いを受けることで示談が成立した。

 

本件の特徴:高齢者同士の事故

本件は、自転車走行中の70代女性が被害者で、一方、加害者は乗用車を運転中の80代男性でした。
もし加害者が若年者だったら、自転車の存在にいち早く気付き、接触を避けられたかもしれません。しかしその証明はできないので、被害者にも横断歩道走行開始時に安全確認を怠った過失があることを認めた上で、その過失は僅か(5%)であるとして、示談を成立させました。

 

小林のコメント(高齢被害者が注意すべきこと)

①保険会社との関係

ご高齢の方は何らかの既往症があることが多く、どうしても治療が長引きがちです。

 

相手の保険会社は、その点に理解を示すべきですが、怪我が軽症であると3ヶ月も経過すると治療終了を打診してくることがあり、本件もそのようなケースでした。

 

このとき被害者が理由を言って拒否すれば、この時期に治療費支払をストップされることはなかったでしょうが、嫌々ながらも要請に応じてしまったため、以後、自費負担となってしまいました。

 

ご高齢の方は、保険会社とのやり取りが面倒で、保険会社から言われるがままに治療費打ち切り等の要請に応じてしまうことがあるため、注意が必要です。

 

②病院(ドクター)との関係

ご高齢だと、主治医の先生から、「歳だから治らなくても仕方ない」とか、「若い人なら直ぐ治る」などと言われることがあります。しかし、事故前にはなかった症状が事故後に生じたのであれば、その事を主治医に丁寧に訴え、根気強く治療を続けて貰う事が肝心です。

 

③親族サポートの重要性

保険会社との関係でも、主治医との関係でも、ご高齢の方は子供など親族のサポートを受ける事が重要です。

 

勿論、ご高齢でも自身で対応可能ならば問題ありませんが、自身で対応する事に自信がなかったり、面倒だと思う場合は、親族の方に保険会社との窓口になって貰ったり、病院に同行して貰うのが良いです。弁護士依頼する場合も同じです。

 

本件でも、弁護士依頼をなさったのは娘さんでした。

 

示談成立までの間、娘さんが窓口となり、指示に従いしっかり対応して下さったため、後遺症の認定も得られ、納得の行く解決が実現しました。

 

【2024年6月21日更新】
執筆者:渋谷シエル法律事務所 弁護士小林ゆか

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